作家名:大竹 伸朗
公開:2006年
「はいしゃ」は名前の通り、元々は歯科医院兼住居だった建物で大竹伸郎が、この元歯科医院を作品化することが決まったときから「はいしゃ」と呼ばれるようになりました。
舌上夢/ボッコン覗
家プロジェクト「はいしゃ」には「舌上夢/ボッコン覗」という作品タイトルがついており、舌上夢(ぜつじょうむ)とは「夢の記憶を感覚からたどる過程」に大竹さんが名前を付けたもので「夢の記憶」が作品のテーマとされています。
塀に埋められた歯
はいしゃの塀は歯茎色で、その中には2,000個に及ぶ陶器製の歯が埋め込まれています。
はいしゃ公開当時の2006年には手を加えられておらず、当時のままだった塀を安全上の都合により一部建てなおすこととなり追加作成されました。
Benesseさんによる塀と陶器製の歯の追加作成に関する記事はこちらから
金歯と銀歯もあるから探してみてね!
歯科医院の受付
はいしゃに入ると右側には受付があり、当時の名残を感じられます。
診察室として使われていた部屋
受付窓口の奥の部屋は元々は診察室として使われていた空間ですが作品化の際に2階の床を抜き、吹き抜けの空間となっています。
壁には染料染めされた濃紺の布が貼られ、その上から大竹さんによるペイティングがされています。また、壁には潜水艦のようなものと、潜望鏡が設置されており潜望鏡を覗くと本村地区の向かいにある山を覗くことができます。
宇宙のようにも、海のようにも見え、天井付近には人?のようなペインティングがされているようにも感じる不思議な空間です。
青い壁は海を表現しているのかな?
待合室として使われていた部屋
先程の部屋の反対側には待合室として使われていた空間が広がっています。
この部屋は壁の形がとても特徴的ですが、これらは宇和島の宇和海造船所から譲り受けた船形を真っ黒のFRPで覆い作られたものです。はいしゃを外からみると船底部分が壁面から突き出ていることがわかります。
廊下
1階のガラス廊下には写真、ポストカード、紙幣、譜面など様々なものが埋められています。
入口近辺の写真は長期間日光を浴びたことにより(?)真っ黒になり何が映っていたのかわからないものもたくさんありますが、大竹さんははいしゃの制作時に「自由の女神」「星条旗」「ワールドトレードセンタービル」「ロナルド・レーガンの肖像」等のポストカード等を海外から大量に購入していたそうです。
これらの中には鹿が映っているものも見受けられます。
鹿=歯科なのかも?
壁の落書き
廊下の壁にはかつてここに住んでいた子供の落書きと、そこから着想を得た大竹さんの描いたものが混じっています。
白いペイントが歯磨き粉みたいだね。
女神の自由
廊下を奥まで進むと大きな自由の女神像が設置されています。
かつて浴室だったこの空間も2階の床を抜くことで吹き抜けの空間となり、自由の女神像は屋根を開いてクレーンで搬入されました。
この女神像は1998年に新潟県のパチンコ店の広告塔とし設置されていたものを大竹さんが譲り受けたそうで全長約6メートル、重量は約2トンになります。大竹さんはこの自由の女神像に「女神の自由」と名付けました。
左手に抱えているのはVHSのケースで、厳密にはパチンコ屋さんに隣接していたビデオ屋の広告塔だったという説もあるみたい。
「はいしゃ」が初めて公開された2006年「直島スタンダード2」の前期には設置されていなかったが、2007年の2月に設置され「直島スタンダード2」後期には作品の一部となりました。大竹さんは女神像が設置された後に「家全体に血が通ったような印象をうけた」ともお話をされたそうです。
夜のはいしゃ
辺りが暗くなるとはいしゃのネオンサインが存在感を放ちます。
本村エリアに泊まるなら夜の散歩におススメのスポットだよ!