記事更新日:2025/11/4
瀬戸内海の離島を中心に行われるアートフェスティバル、2025年の瀬戸内国際芸術祭も残ること5日。
(※2025年11月9日で冬会期終了)
2025年度は新たに「宇多津」「引田」「志度・津田」エリアが追加され、会場が増えることが嬉しい反面、全島・全エリアを回りきるのが大変になってきたように感じます。
岡山県や香川県など、各会場にアクセスのよい場所で生活されている方は休日に少しずつ各会場を回ることもできますが、遠方から来場される方は難しいですね。
なので残り少ない秋会期を一度の旅行でより多くの会場を回りたい方向けに実際に一日で「本島」「高見島」「粟島」「宇多津」の4つの会場を回ってきたのでタイムスケジュールやモデルコースを紹介させていただきます。
しまネコゆっくり観光したい方には参考にならないかも…。
モデルコース/1日のスケジュール
今回の旅行で実際にしまネコ(著者)が行動したスケジュールを紹介します。
※今回の行程では自動車を使用しています。
9:00丸亀港出発
・車での来場は港のすぐ近くに丸亀市営の港駐車場があります。(徒歩3分)
・満車の場合は福島駐車場の利用がおススメです。(徒歩6分)
・最寄り駅は丸亀駅
9:35本島到着
・島内はレンタサイクルでの移動を推奨
※レンタサイクルの数には限りがあるのでフェリー降車後すぐにレンタルに向かう方が良いです◎
※バスや徒歩でも観光可能ですが短時間で島内を回るのには不向きです。
12:25本島出発
13:00高見島到着
・高見島の観光は坂が多い為、島内は徒歩での移動が基本になります。
15:10高見島出発
15:30粟島到着
・粟島の観光は徒歩、レンタサイクルどちらでも所要時間に大きな差は無く観光できます。
17:15粟島出発
17:30須田港到着
・瀬戸内国際芸術祭の期間中は須田港~詫間駅まで無料シャトルバスが運行しています。
17:52詫間駅出発(高松行)
18:07丸亀駅到着
・丸亀駅から駐車場まで徒歩で歩きます。(徒歩4~7分)
・宇多津エリアまで自動車で移動
18:30宇多津エリア到着
・宇多津町役場又は宇多津中央公園に駐車して徒歩で観光
・宇多津エリアの鑑賞時刻は10:00~20:00
※宇多津エリアの最終入館時刻は19:45です。
※宇多津エリアはut01「色のない翼の彼方」のみ作品が少し離れています。
屋外作品の為、鑑賞時間に制限がありませんので朝か宇多津エリアの他作品鑑賞後に行くことをおススメします。
各島・エリアの作品紹介(一部)
各島・エリアの作品を新作を中心に一部抜粋して紹介します。
本島
ディスパッチ






作家:ジャッガイ・シリブート
公開:2025年(新作)。
「後世になにを残したいか」「いちばん大切な記憶は」という作家からの問いに対する住民の言葉が、作家の手により刺繍された作品。
素材に使われた衣類は本島などの地域住民から集めたものが使われています。
House of shadows(影の家)


作家:エカテリーナ・ムロムツェワ
公開:2025年(新作)
空き家一棟をまるごと使ったインスタレーション作品。
布や紙に投影された影を鑑賞することができ、中にはオブジェが回転することで動きのある影の作品もありました。



入場制限があり、本島の作品で一番混んでいたよ。(約15分待ち)
笠島エリアに着いたら混む前に真っ先に向かうのが良さそう!
うみのえまつり






作家:コタケマン
公開:2025年(新作)
布を繋いだ真っ白の大きなキャンバスに土や水をかき混ぜた泥で描かれた地上絵のような作品。
本島の笠島港にて制作され、制作時の様子も本作品の展示場所にて動画が公開されています。
屋内展示作品ということもあり、あまりの大きさから分割されて展示されていますが、作品の全体像写真も飾られています。
水の下の空


作家:アレクサンドル・ポノマリョフ
公開:2016年
本島に訪れた作家が漁師の仕事や技術を知ったことから制作された作品。
土台(鏡)は空を反射し、船が空に浮かんでいるようにもみることができます。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)






丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)も瀬戸内国際芸術祭の作品のひとつに選ばれています。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館はエリア的に本島の作品に分類されていますが、本島行きのフェリーがでる丸亀港の近くに位置する美術館です。
2025年8月1日~は直島の「はいしゃ」「直島銭湯I♥︎湯」や豊島の「針工場」、女木島の「女根」など瀬戸内国際芸術祭の舞台で様々な作品を展開する大竹伸朗さんの個展「大竹伸朗展 網膜」が丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて開催されています。
「大竹伸朗展 網膜」は11月24日迄開催されているので瀬戸内国際芸術祭終了後も少し日数が残されています。
瀬戸内国際芸術祭のパスポートを提示で300円割引となりますが、パスポート提示での完全無料作品ではありませんので、旅行の日程で鑑賞が厳しい場合は瀬戸内国際芸術祭の期間外に行くのもありかもです。



JAF会員証提示で300円割引など、瀬戸芸パスポート以外にもいくつか割引対象があるようです!
高見島
時のふる家


作家:中島 伽耶子
公開:2016年
離島という自然の影響を受けやすい環境下で、年数をかけて倒壊していく民家が離島にはあります。
時に暴力的なほどに厳しい自然の力を、民家に差し込む光で美しく表現されているようです。



アクリルは透過性が高いからエッジが光ってみえるらしいよ!
まなうらの景色2022


作家:村田 のぞみ
公開:2022年
時に荒々しく、時に静寂に包まれる島の海の対照性をテーマに古民家の中に制作されたインスタレーション作品。
作家の村田さんに直接お話を聞くことができましたが、本作品にはテグスやワイヤーは一切使われておらず、1本10~15cmにカットされた針がねだけで制作されているそうです。
一区画辺り3ヶ月程の制作期間を要する為、瀬戸内国際芸術祭サポーター”こえび隊”の協力のもと制作されたそうです。
TAKAMISHIMA ART TRAIL-高見島アートトレイル


作家:淺井裕介、泉桐子、橋本雅也、谷本真理、保良雄、中谷ミチコ+大室佑介、BankART1929+PHスタジオ
公開:2025年(新作)
高見島の中でも斜面の多い浦集落を中心に展開される複数の作家による作品群。
あちこちに点在する作品の中には、一見してわからない場所に隠れるように展示されているものもあります。



作品を探す楽しみ方もできるね♪
粟島
Awashima,Fall


作家:グエン・チン・ティ
公開:2025年(新作)
粟島には日本初とも言われる海員学校がありました。
外洋航路の船員を多く輩出した粟島海員学校ではモールス信号も教育されており、そのような島の歴史や今も粟島に住む元船員から話を聞いて着想を得た作家が制作した作品。
島民や観光客から募ったメッセージをモールス信号に変換し、様々な楽器により自動演奏されています。
元々は粟島の郵便局だった建物なので、屋根の瓦に注目すると〒マークを見つけることができます。
※現在、海員学校は海洋記念館として改築工事が進行中です。
帰り着く家-瀬戸内粟島古家滞留積層脳海図像・2025






作家:青野 文昭
公開:2025年(新作)
作家の青野さんは1990年代より一貫して「修復」をテーマとした作品を展開しており、拾ってきた廃棄物を修復したり異なる物同士を結合することで人やモノの記憶を辿り、モノに宿る念を引き出す試みをされています。
本作品も粟島の空き家と家具、島ならではの廃船などを用いて島の歴史や生活の記憶を辿るような作品です。
思考の輪郭


作家:エステル・ストッカー
公開:2016年
旧粟島幼稚園を舞台にした二次元と三次元が入り混じったインスタレーション作品。
前回の瀬戸内国際芸術祭(2022年)から今期(2025年)の間にかけて通路に燕の巣ができていたそうですが、燕の巣は撤去せずに、作品全体を塗りなおす際に燕の巣にも塗装が施され作品の一部として溶け込ませたそうす。
宇多津
Capacity


作家:シガリット・ランダウ
公開:2025年(新作)
作家の出身国であるイスラエルとヨルダンの間にある死海。
その死海に、漁網やイス、チェロなど様々な物を沈めて塩の結晶がついた作品が展示されています。
本作品は①旧農業協同組合倉庫と②旧靴屋の2ヶ所に展示されていますが、①旧農業協同組合倉庫の入り口には死海に沈めた初日の黒いドレスの写真、屋内にはそれから一週間、二週間、三週間、四週間と経過した4枚の写真が展示されています。
②旧靴屋には結晶化した靴の作品や、結晶化した靴をヨーロッパの凍った湖の上に置いて溶けていくような映像作品も公開されています。
色のない翼の彼方


作家:西澤 利高
公開:2025年(新作)
水族館の水槽などにも使われるアクリル板でつくられた作品。
すぐ傍には四国水族館もあり、この地に溶け込むような素材でつくられているかのようです。
晴天、曇り、夕焼けなどその日の天候によって翼の色が変化するので色々な時間に訪れたいですね。
あとがき
本記事では「本島」「高見島」「粟島」「宇多津」を1日で観光してきたタイムスケジュールと各島・エリアの作品を一部紹介させていただきました。
2025年の瀬戸内国際芸術祭も残り5日です。
残り少ない期間、決して時間に余裕のある行程では無いですが1日あればこれだけのエリアを観光することもできます。
瀬戸内国際芸術祭マニアの同志の方も、今年初参加の方も2025年瀬戸内国際芸術祭を最後まで満喫しましょう♪

