直島銭湯「I♥︎湯」は大竹伸朗が手掛けた”入浴できる美術施設”です。
大竹伸朗が直島で展示した「シップヤード・ワークス」「落合商店」「はいしゃ」に続き制作され2009年7月にオープンしました。
直島では過疎高齢化による影響もあり「自宅でお風呂を沸かすのが大変だ」という島のおじいちゃんやおばあちゃんの声があった事、観光客からも汗を流せる場所があると嬉しいといった要望があった事などが直島銭湯「I♥湯」の制作背景にあります。
直島で生活する島民と国内国外を問わず観光客の方が交流できる場として多くの方に愛されています。
「I♥湯」は外観から内装の至る所まで大竹ワールドが広がっているよ♪
基本情報
■営業時間:13:00~21:00(最終入館20:30)
※13:00~15:50見学のみ
※16:00~21:00入浴のみ
■定休日:月曜日(開館カレンダーもご確認ください。)
■住所:香川県香川郡直島町2252-2
■鑑賞料金:660円(15歳以下310円、3歳未満無料)
制作秘話
福武總一郎からの電話
直島銭湯「I♥湯」は福武總一郎(当時のベネッセアートサイト直島代表)が大竹伸朗に「銭湯に興味はある?」と電話したことから始まったそうです。
はじめは銭湯によくある富士山の絵のようなものを描く依頼かと大竹は思ったそうですが、銭湯をはじめから作るという発想でした。「シップヤード・ワークス」「落合商店」「はいしゃ」など直島でのアート作品の制作活動を行っていた縁もあり、後に「I♥湯」と名付けられる銭湯の制作を引き受けました。
浴室の小象
男湯と女湯を隔てる壁の上でひときわ存在感を放つ子象。この子象は北海道定山渓の秘宝館が所有していたもので、定山渓の「定」を取り”定子(さだこ)”と名付けられています。かつて大竹が北海道を旅している時に出逢い、その当時からこの小象が欲しいと考えていたそうです。
定山渓秘宝館の閉館後に子象を手に入れた大竹はこれを直島に運び、クレーンで吊り上げ天井から設置しました。
浴室の天井に描かれた絵
浴室の天井には絵が描かれていますが、これは直島銭湯「I♥︎湯」制作前の構想段階では予定していなかったそうです。
夜になるとガラスが鏡面のように隣の浴室のを映してしまう問題が発覚したために、天井に絵を描く事となりました。
経年劣化に伴い、2018年に天井画の再制作も行われています。
浴室の絵と「I♥湯」の名前
大竹は「I♥湯」が現代美術のアート作品である前に、公共施設であることを意識していました。
直島に住むおじいちゃんが孫を銭湯に連れてきた時を想像し、絵を一緒に見ては、おじいちゃんが孫に「あの絵はタコだよ。」などと言えるものである必要があると考え「I♥湯」で描く絵は抽象的な物ではなくハッキリとした姿や形で表現するようにしました。そうすることで島民により親近感を持ってもらいたかったそうです。
また、銭湯の名前も当初アート作品らしさの溢れる名前も検討されたそうですが、「誰が聞いても覚えやすい名前」になるように「I♥湯」という名前がつけられました。
環境への配慮
「I♥湯」は環境に負荷を与えないこともひとつのコンセプトとして注力されています。
おがくずを原料とするペレットボイラーが採用がされており、この燃料は燃焼効率が良く灰や煙が少ないことが特徴のひとつです。
お土産
「I♥湯」では定番のTシャツやタオルの他に、ナップサックや缶バッジなど多数のグッズを販売しています。
また、屋外には「I♥湯」「はいしゃ」「シップヤード・ワークス」などの作品を含む大竹伸朗のガチャガチャマシンも設置されています。
宮浦港のすぐ近くにあるから、直島に遊びに行った際には是非行ってみてね♪