碁会所について
作家名:須田 悦弘
公開:2006年
現在、碁会所のある場所にはかつて小さな民家があり高齢の女性が1人住んでいたそうです。
女性は家の一部を碁を打つ場所として開放して近所の若者たちがよく遊びに来ていましたが、同時に若者たちは部屋をかりて碁を打たせてもらうかわりに独居老人の見守りの役割も果たしていました。
これが碁会所の名前の由来となっています。
碁会所の作品
碁会所にはふたつの小さな和室空間があり、これらはかつて香川県にあった江戸時代の蘭学者の書斎をイメージして制作されたものです。
和室に向かって左側の部屋には朴の木を材料に木彫りで作られた五色椿の花と葉の彫刻作品が点在しています。これらの作品は花びら一枚ずつ丁寧に作られ岩絵具で着色した後にひとつの花として合わせられています。
木彫りとは思えないほど精巧につくられているね!
今度は向かって右側の和室に目を向けると一見”何もない部屋”として映ると思います。
須田さんは本物と間違えるような植物の木彫作品を得意としており、空間に溶け込ませることで自身の作品を気づかれないように展示することも多いです。木彫作品と気づかれなければそれだけ、作品のクオリティが高いとも考えられえます。
実は多くの人に気付かれる事がありませんが、右側の部屋にも実は木彫作品が1点だけ存在します。
右側の部屋にある木彫作品はどれかわかるかな?みんなも探してみてね!
庭には井戸と五色椿の木があり、五色椿の開会時期である12月~2月頃には赤、白、ピンクなど多様な色と模様の花を咲かせます。
開花時期の終盤には五色椿の花が地面に落ちていきますが、須田さんは重要文化財「名樹散椿」から着想を得て碁会所の制作に取り掛かったそうで、花が散ることで「名樹散椿」の景色に更に近づくようにも見て取れます。
碁会所には「対比する」というテーマがあるそうなので、左の部屋と右の部屋の対比。
木彫りの五色椿と庭に植えてある五色椿を対比して鑑賞してみてはいかがでしょう。