護王神社について
作家名:杉本 博司
公開:2002年
「護王神社」は老朽化が進んだ社殿の再建の資金繰りに困った氏子さんから依頼があり、家プロジェクトの作品として全面改修されました。
神明造と古墳が同時に存在した時間があったかもしれない。という杉本さん独自の歴史解釈により本殿(神明造)と石室(古墳)が作られ、それぞれをガラスの階段で繋いでいます。
石室は元々あった空間じゃなくて、家プロジェクトの作品として改修された時に本殿の下に作られたよ。
Appropriate Proportion
作品名となる「Appropriate Proportion」とは日本語に訳すと適切な比率という意味で杉本の「神は特殊な場所に宿り、そのような場には独特の比率がある」という考えに基づいています。
本殿と拝殿の周囲にはフィリピンから持ってこられた玉石が敷き詰められ神域が作られています。
また拝殿には岡山から持ってこられた巨大な花崗岩が使われています。大きすぎるが故に運搬の際に半分に切られたそうで、花崗岩を注視してみると切ったあとの痕跡を見つけることができます。
この花崗岩は24トンもの重さらしいよ!
石室には懐中電灯を受け取り数人ずつ入ることができます。
人一人分の狭い通路を進むとガラスの階段にたどり着きます。本殿でみたガラスの階段が石室まで続いています。
この階段は光学ガラスで作られており、光学ガラスはカメラのレンズなどに使われているものです。
写真家の杉本さんが普段、作品を作る(撮る)ときに使う材料が、作品そのものに取り込まれています。
ガラスの階段の鑑賞を終えて、来た道と同じ細い通路を通って戻ると、通路の先の瀬戸内海が石室から見えるように正面の木は伐採されています。
これは杉本博司の代表作である「海景」と同じ構図が再現されています。
狭い通路が額縁みたいだね。
杉本博司ギャラリーに「海景」シリーズの作品はたくさん展示されているので是非鑑賞してみてください。