こんにちは、しまネコです!
2024年の12月に奈義町現代美術館とレアンドロ・エルリッヒによる「まっさかさまの自然」を見に行って来たのでレポート記事を書きました♪
奈義町現代美術館とは
奈義町現代美術館(通称:NagiMOCA/ナギ・モカ)は1994年 4月25日に開館した岡山県の美術館です。
奈義町現代美術館の最大の特徴は建築家と芸術家が共同制作することにより建物と作品が融合し、半永久的に一体化していることです。
「大地」「月」「太陽」と名付けられた3つの展示室はどれも個性的な形状で、通常であれば展示する作品を選ぶのも難しそうですが、奈義町現代美術館は一般的な美術館と異なり展示替えを想定していません。
”宮脇愛子”、”岡崎和郎”、”荒川修作”+”マドリン・ギンズ”の4人の芸術家には一般的な美術館には展示できないであろうスケールの作品制作を依頼し、その作品や全体の空間を作家と建築家が話合うことで創られています。
建築家”磯崎新”さんはロサンゼルス現代美術館の設計など世界的に活躍された日本を代表する建築家だよ!
展示作品(常設作品)
≪うつろひ-a moment of movement≫
作品名:≪うつろひ-a moment of movement≫
作家:宮脇愛子
展示室:大地
「うつろひ」は宮脇さんの代表的なシリーズ作品で、奈義町現代美術館の他にも”群馬県立近代美術館”や”ハラミュージアムアーク”にも展示されています。「うつろひ」シリーズを制作するきっかけとなったドローイングでは、「虚空に線を描くかのように、のびのびとした自由な魂、中国語でいう所の”気”を表したい」という願いが込められています。
その他にも「彫刻というものの重々しさから離れて鳥の飛翔のように自由な物を作りたい」という宮脇さんの思いが込められているそうです。
石の敷き詰められた空間は立ち入りOKなので鑑賞時に別の視点から作品鑑賞をしたい時や、映え写真を撮りたい時などに入ってみるのもおススメです◎
宮脇愛子さんの夫は奈義町現代美術館設計の磯崎新さんだよ!
≪HISASHI-補遺するもの≫
作品名:≪HISASHI-補遺するもの≫
作家:岡崎和郎
展示室:月
三日月型の展示室に入ると白い壁面にはダラッとしずくが垂れる瞬間で固まったような形態のオブジェHISASHIが3つ展示されています。
HISASHIは岡崎和郎を代表するシリーズ作品で窓や玄関などの上部に取り付けられる小さな屋根”庇(ひさし)”がモチーフの作品です。自然界にも岩陰や木陰など、庇のように生物が日差しや雨風をしのぎ休息できる空間が存在します。
月の展示室は、音の反響する造りで人の歩く足音やささやく声にも敏感に反応し、独特の音が楽しめる空間でもありますが、
床に配置された椅子に腰を掛けて、休息や瞑想を楽しむ空間でもあるそうです。
キャプションにも「休息のためにHISASHIとベンチが与えられたとせよ。」と書かれているね!
また、HISASHIは岡崎さんが本格的に制作活動を始めてから考え続けている「補遺」という概念を表しているものでもあり、「補遺」とは”部分を通して全体を見通す”などの意味を含んでいるそうです。
”部分を通して全体を見通す”の部分=庇として解釈してみると、本来玄関や窓など建物の外側にある庇(HISASHI)が建物の内側にあることで自分のいる場所の認識を建物の内部から建物の外部へと変化させるようだね。
≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫
作品名:≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫
作家:荒川修作+マドリン・ギンズ
展示室:太陽
円筒形の展示室「太陽」には、日本を代表する現代美術家・荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏の作品が展示されており、地面と壁の境界線がわからなくなるような不思議な空間を体験することができます。
この太陽の展示室では京都の龍安寺の石庭が再現されています。
この太陽の展示室はインスタ映えスポットとしても人気で、南側から差し込む光にカメラを向けて写真を撮影すると逆行でシルエット風の写真が撮影できます。
「太陽」に登る螺旋階段の下の空間には壁一面に写真が貼られています。
この写真は町民の方や美術館に来られた方の写真を随時追加してきた開館当時から継続して行われてきたプロジェクトです。
写真で溢れる壁面には1つだけモニターが設置され、太陽の展示室に設置されたビデオカメラの映像が映し出されています。
日本一危険な公園と呼ばれる岐阜県の”養老天命反転地”を構想した”のも荒川修作+マドリン・ギンズ”だよ!
展示作品(イベント)
2024年9月28日~11月24日に開催された「森の芸術祭 晴れの国・岡山」で、奈義町の屋内ゲートボール場「すぱーく奈義」を舞台に展示されていた《まっさかさまの自然》が延長公開されています。
展示期間:2024年12月15日~2025年2月2日
展示会場:すぱーく奈義(奈義町現代美術館の東側道路を挟んですぐ)
鑑賞料金:奈義町現代美術館のチケットで鑑賞可能
※奈義町現代美術館チケット
・大人700円
・高校生500円
・中学生&小学生300円
まっさかさまの自然
作品名:まっさかさまの自然
作家:レアンドロ・エルリッヒ
レアンドロ・エルリッヒの作品は鑑賞者に錯覚をもたらすような作品が多く存在します。
”まっさかさまの自然”も例外ではなく、一見すると頭上と吊り橋の下に木々が生い茂っているかのような空間ですが、実際には頭上に300本の木々が吊るされ、吊り橋の下には鏡が広げられることで、頭上の木々を映し出し浮遊感のある空間が出来上がっています。
300本の木々を吊るす天井にはトラス構造と呼ばれる三角形の組み合わせからなり荷重に対する強度が高く、変形しにくい構造が採用されています。
本作はレアンドロ・エルリッヒにより「普段、我々が見過ごしがちな自然の風景に改めて目を向け、その重要性を認識する為の作品」として構想されているそうです。
レアンドロ・エルリッヒの作品は金沢21世紀美術館に展示されている「スイミング・プール」が有名だね!
奈義町立図書館
奈義町現代美術館には無料で利用できる奈義町立図書館も併設されています。
館内での読書はどなたでも可能で、中には読書スペースもあります。
太陽の展示室が見える読書スペースもあったよ!
開館時間:火曜日&木曜日10:00-18:00
水曜日&金曜日&土曜日&日曜日9:30-17:00
休館日:月曜日&祝日の翌日&年末年始&毎月1回月末近くの平日に設ける整理日
※開館時間や休館日は変更の可能性もあるので奈義町立図書館の公式サイトでも確認してみてください。
※職員の方へ許可を頂き館内を撮影しています。
ランチ
この日のランチは奈義町現代美術館のすぐ南側に位置する”pizzeria La gita(ピッツェリア ラジータ)”に行きました。
こちらも奈義町現代美術館と同じく磯崎新さんが設計。ミシュランのビブグルマンにも選出されている人気店です。
ビブグルマンとは…ミシュランガイドに1997年に導入された評価制度で、価格以上の満足感が得られる料理を提供するレストランを表彰するものです。ビブグルマン表彰の条件として国ごとに異なる価格帯の制限があり、東京版ではサービス料、席料込みで5,000円以下でのコースやアラカルトの提供が条件となっています。
本場ナポリから取りよせた石窯で焼き上げる本格ピザが絶品&奈義町現代美術館から歩いて行けてしまうアクセスの良さも相まって超人気店ですので事前予約しておくことをおススメします。
予約については”pizzeria La gita(ピッツェリア ラジータ)”さんの公式サイトに記載されているので確認してみてください。
美術館と合わせて行くと、芸術も食も堪能できるね♪
奈義町現代美術館鑑賞の感想
奈義町現代美術館はしまネコ(筆者)がプライベートで初めて行った美術館であり、アートに興味を持つきっかけになった場所です。
「美術館鑑賞」というとキャンバスに描かれた絵を眺めるイメージで、作品のすばらしさを理解するにはアートの歴史や技法の知識が必要なのかな~となんとなく小難しい印象をもっていました。
ですが、実際に行ってると自分の中の美術館鑑賞のイメージを覆されました。
アートに関する知識はゼロでしたが、いつもの日常から切り離されるような”非日常的感覚”を深く味わい
ふと立ち止まって、いつもと思考を変えて色々な事に考えを巡らせることができたのを覚えています。
それと同時にアートの鑑賞は”自由”なんだと気づかされました。
しまネコ一押しの奈義町現代美術館、是非行ってみてね!